
骨董品買取でよく聞く鑑定と査定の違いとは?
骨董品買取を業者に依頼しようと情報収集をしていると鑑定と査定という二つのキーワードが出てきて違いがわからずに悩む場合があります。
この二つのキーワードが類似しているのは確かですが、意味は明確に異なっているので正しく理解しておきましょう。
真贋を見極める意味を持っているのは…
骨董品には本物と偽物があり、その真贋を見極めることは十分な見識がある人でなければ困難です。
その真贋の見極めを行うことを鑑定と言い、十分な見識がある人や機関が実施した場合には最終的に書類としてまとめられて骨董品と一緒に保管されるというのが原則になっています。
骨董品の良し悪しを見極める行為であるのは確かですが、特に作者が正しいかという観点で良し悪しを判断するのが特徴です。
別の人がある有名な作者の作品を真似て作った模造品というのは偽物でよくあるパターンでしょう。
見た目はよく似ていても使用している材料が異なっていたり、少し筆のタッチが違っていたりして偽物だとわかることがあります。
極めて似ているけれど制作された時代が少しずれているという点からも偽物かどうかが判断できるでしょう。
美術品などの場合には、高名な作家については権威のある人が定められている場合が多く、その人によって真贋の見極めをしてもらうと確かに本物なのか、あるいは偽物なのかが明確になるという形が取られています。
そのため、買取を依頼するときに買取業者が専門家に見せて判断したいという提案をして、その権威者に見せて真贋を見極めた上で買い取るという手続きを取ることもあるのです。
買取業者としては本物だと思って高額で買い取ったら実は偽物だったというのでは大損をしてしまいます。
また、偽物だと言ってみたものの、後になって権威者に真贋の判定をしてもらったら本物だったとなると信用を失ってしまうことになりかねません。
そのため、まずはある程度の知識がある専門家なら判断できる程度で本物か偽物かを見て、偽物だという要素が見当たらないとわかった時点で本物という確証を得るための手続きを取ることがあるのです。
気をつけておきたい点として、あくまで真贋の判定をする行為なので価格については一切言及しないということです。
本物であるという点で骨董品としての価値がかなり高いと考えることはできますが、それを金額として明確に示すことはありません。
価格を見極める行為を示しているのは…
骨董品買取を依頼すると買取価格を提示されて、その価格で納得できたら契約書を交わして売るという手続きを取ります。
売買取引のために必要な価格を見極める行為を示しているのが査定です。
真贋は価格に大きな影響を及ぼすパラメーターなので必ず確認されますが、たとえ偽物であっても別の有名作者が真似て制作したもので秀逸な出来栄えなら価格は高くなる可能性もあります。
価格に影響する要素は多く、デザインや使用されている技術、出来栄えや年代、大きさや材質などに加え、保存状態や傷の有無、箱などの付属品の有無なども考慮して決まるのが一般的です。
また、流通量や市場の動向にも価格は左右されます。
同一品が複数ある骨董品に比べるとたった一つしかないものの方が高い価値と考えられるでしょう。
ある作者の人気が突然高騰して購入したいと考える人が多くなると市場価格が上昇して価値が高いと判断されるようになります。
一方、シリーズで制作されたものの場合には全て揃っていると価格が上がります。
買取先でシリーズ物の一つだけが欠けているという状況で、その欠けていた作品を売りたいと話を持ちかけると高額の買取価格を付けてくれる場合もあるでしょう。
このように骨董品そのものの価値だけでなく、市場や買取業者の都合なども影響するのが特徴です。
単純に考えるといくらで販売できるかどうかを見極め、マージンを考えていくらで買い取るのが適切かを判断する行為と言うこともできるでしょう。
混同してしまっているケースもある
しっかりとした知識がある買取業者や専門家は二つのキーワードを区別して使用していますが、素人になるとどちらも価値を見極める行為だと一括りにしてしまっている場合もあります。
何となく類似している言葉だという程度の理解で、印象だけで使い分けてしまっていることも珍しくはありません。
しかし、適切な区別ができるかどうかで、素人か玄人かを判断できてしまうので気をつけましょう。
買取業者と相談するときに誤った用法で話をしてしまうと素人だと考えられてしまう可能性があります。
知識豊富な人だと考えてもらった方が、取引を有利に進められることが多いので、買取業者とのやり取りのときには特に使い分けに注意しておきたい点です。
骨董品の良し悪しを見極めるという点では類似しているため、これらの二つのキーワードは混同されがちです。
しかし、骨董品買取を依頼する上では正しく使い分けなければならない言葉なので気をつけましょう。
正しく使い分けられることで買取店からも初心者ではないと判断してもらえるようになります。