
骨董品は固定資産税の対象になるのか?
骨董品は非常に価値があるものですが、持っているだけで税金がかかってしまうものなのでしょうか。
持っているだけで税金がかかるならちょっと憂鬱になってしまいますよね。
今回は、骨董品をめぐる税金についてご紹介します。
固定資産税(償却資産税)とは
そもそも固定資産税とは、土地、家屋、償却資産にかかる税金を言います。
◆税率は市町村によって異なります。
◆毎年1月1日に固定資産を所有している人が固定資産の価格を元に計算された固定資産税を市町村に納めるという制度です。
◆土地、家屋については登記簿がありますよね。
土地、家屋のそれぞれの登記簿などに所有者として登記されている人が固定資産税を払うことになります。
骨董品は土地でも家屋でもありませんよね。
要するに固定資産税の中の、償却資産に当たるのかどうかということが問題になります。
○では、償却資産とは何でしょうか
償却資産とは、事業用に所有されていて、なおかつ使用している10万円以上の資産を言い、減価償却費が法人税法または所得税法上の経費として算入されるものを言います。
◆書画や骨董品で、稀少性があって大耐性がないものについては非償却資産です。
◆簡単にいえば、社長室にかかっている絵画は償却資産になる可能性がありますが、個人が単に趣味として持っていて事業とは全く関係のない骨董品の場合は償却資産にはなりません。
詳しくは税理士に尋ねてみることをおすすめしますが、基本的には個人で所有していて、古美術商ではなくて、絵画のレンタル業もしていなくて、さらに仕事場にも飾っていないという場合は、償却資産になる可能性は少なそうですよね。
さらに、そもそも買った時に10万円もしなかった骨董品であれば、持っているだけで税金がかかることはありません。
固定資産税がかかる骨董品
固定資産税がかかる可能性のある骨董品は、事業用に使用していて10万円以上の資産であり、なおかつイミテーションなどの装飾品で代替性のあるものと考えられますね。
近年、法人税法施行令が改正された影響で、2015年1月1日以降に、法人が取得した美術品について一点100万円未満であれば原則として減価償却することになりました。
ただし、美術品の価値が時の経過によって減少することが明らかな美術品については減価償却をすることができます。
前述の通り、古美術品、古文書、出土品などで歴史的価値があり、代替性のないものは減価償却できませんし、償却資産税の課税対象でもありません。
家の庭から何か出土してしまったので税金がいきなりかかる、なんていうことはありませんのでご安心下さい。
実際に、そんな事例聞いたことないですよね。
ただ、聞いたことがあるのは骨董品を売却した時と、元の持ち主がお亡くなりになって相続した時の税金についてではないでしょうか。
事業を営んでいない個人が骨董品を所有することで気にするべき税金は、所得税や相続税かと思われます。
固定資産税ではなく、所得税は?
○骨董品に所得税がかかる場合
骨董品を売却した時です。
買取業者に売却した骨董品や、美術品が一点または一組あたり30万円を越してしまうと、譲渡所得税がかかります。
逆に、一点または一組30万円未満のものをいくつ売っても、譲渡所得税はかかりません。
というのも、生活用の動産に当たると考えられるため、譲渡所得税はかからないということなのです。
生活用に使ってものを売る、みたいな感じになるわけですね。
○注意するポイント
◆ただし、歴史的な価値や希少性があり、生活用品というよりも骨董品であるとされるケースもあるので、一点30万円のラインを越すかどうかは気をつけておいたほうがいいでしょう。
◆とはいえ、売った価格そのままが課税対象になるのではなく、買った価格を引くことができるので、買った当時の書類が残っていないか探してみてください。
入手経路や価格がわからない場合は、一律で譲渡金額の5パーセントを取得費として差し引くことができるとされています。
売った価格から買った価格を引いたら0円になるのであれば、結局のところ税金はかからないということです。
◆特に茶道具など、生活に使える骨董品は実用品なのか、骨董品なのかでもめてしまうケースがあります。
迷ってしまった時は税理士や、査定士に相談してみることをおすすめします。
どこまでを一組とするのかによっても税金が若干変わるかもしれないので、本当にセット売りが妥当なのかどうかもよく考えた法が良さそうです。
◆譲渡所得税は住民税などの計算の根拠にもなっていますので、一点30万円の値段が付くかどうかには十分注意してくださいね。
相続税はかかる?
さて、骨董品を相続した場合、相続税がかかる可能性があります。
相続税には基礎控除額があるので、美術品や骨董品も含め全体としていくらの相続税がかかるのかということが重要です。
生活用のタンスなどと同じ家財になることもあるのですが、相続争いに発展することもあるので鑑定を受けておくに越したことはないかもしれません。
ただし鑑定にはそれなりに費用がかかります。
まとめ
個人が骨董品を持つだけで固定資産税がかかることはありませんが、法人が所有している美術品については注意が必要です。
税金がかかるかどうかはお近くの税理士、美術品の価値、金額については査定士にお尋ねください。